• 数と式 • 根号計算 • 場合の数.順列.組合せ • 確率 • 2次関数 • 2次不等式 • 集合・命題・条件・証明 • 正弦定理,余弦定理 《数学Ⅱ・B》 • 指数関数.対数関数 • 微分・積分 |
■3次関数のグラフ・・・微分するまでに分かること
■3次関数のグラフの見方(その1)
○ 右の--図1--は3次関数のグラフ全体の増減の傾向を見るときは,x3の係数を見るとよい. y=1x3+2x2−3x+4 のグラフです. このグラフは,全体の傾向として 「左下から右上へ向かって」 います. その理由は次のように考えることができます. 例えば,x=10のとき,
x3=1000
となって,大きさのほとんどはx3で決まり,他は小銭のようなものです.2x2=200 −3x=−30 4 逆に,x=−10のとき,
x3=−1000
も,大きさのほとんどはx3で決まり,他は小銭のようなものです.2x2=200 −3x=30 4 ○ 右の--図2--は y=2x3+5x−7 のグラフで,このグラフでもx=10のような大きな値では,大きさのほとんどは2x3で決まり,5x−7の値はわずかなものです. ○ 右の--図3--は y=−1x3+3x のグラフです. このグラフは,全体の傾向として 「左上から右下へ向かって」 います. その理由は次のように考えることができます. 例えば,x=10のとき,
x3=1000
となって,大きさのほとんどはx3で決まり,他は小銭のようなものです.3x=30 逆に,x=−10のとき,
−1x3=1000
も,大きさのほとんどはx3で決まり,他は小銭のようなものです.3x=−30 ○ 右の--図4--は y=−2x3+3x2 のグラフで,このグラフでもx=10のような大きな値では,大きさのほとんどは−2x3で決まり,3x2の値はわずかなものです.
【その1・・・要点】
x3の係数が正 ⇒ 大きな傾向としては「左下から右上へ」 x3の係数が負 ⇒ 大きな傾向としては「左上から右下へ」 |
|
■3次関数のグラフの見方(その2)
○右の--図5--はy=(x+1)x(x−2)のグラフです.3次関数のグラフ y=ax3+bx2+cx+d (a≠0) とx軸すなわちy=0の直線との共有点(交点と接点)を調べるには,3次方程式 ax3+bx2+cx+d=0 を解けばよい. 特に,3次式ax3+bx2+cx+d=0 (a≠0)が a(x−α)(x−β)(x−γ)=0 の形に因数分解できるときは,3次方程式の解はx=α, β, γとなるから,これらが共有点のx座標になる. ◆まず第1に,y=(x+1)x(x−2)=x3−x2−2xで,x3の係数が正だから,グラフは「左下から右上に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
(x+1)x(x−2)=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左下から入る」→「x=−1で交わる」→「x=0で交わる」→「x=2で交わる」→「右上に向かう」x+1=0 → x=−1 x=0 x−2=0 → x=2 すると,--図5--のようなグラフが描けます. |
○上の--図6--はy=−(x+2)(x+1)(x−1)のグラフです. ◆まず第1に,y=−(x+2)(x+1)(x−1)=−1x3...で,x3の係数が負だから,グラフは「左上から右下に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
−(x+2)(x+1)(x−1)=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左上から入る」→「x=−2で交わる」→「x=−1で交わる」→「x=1で交わる」→「右下に向かう」x+2=0 → x=−2 x+1=0 → x=−1 x−1=0 → x=1 すると,--図6--のようなグラフが描けます. |
■重解(二重解,三重解)があるときのグラフの特徴
A:y=a(x−α)(x−β)(x−γ)において, α<β<γが互いに異なる値のとき,グラフは右の解説図Aのようになります.
上で述べた--図5--はα=−1, β=0, γ=2の場合になっています.
B:小さい方の2つの解α, βがカレイの目玉のようにだんだん寄ってきて,とうとう重なってしまった場合(β=α)を考えると,--図6--はα=−2, β=−1, γ=1です. y=a(x−α)(x−α)(x−γ)=a(x−α)2(x−γ)のグラフはBのようになります.
例えば,α=−1, β=−1, γ=2の場合,方程式はy=a(x+1)2(x−2)となり,上のBの図になります.
x3の係数aが負の値の場合,例えばy=−2(x+1)2(x−2)のときは,下のBの図になります. ■** これらの場合,グラフはx=α(=β)の所で「接点」となります.⇒横切らずに,元の側に戻ります.**■ C:大きい方の2つの解β, γが重なった場合(γ=β)は, y=a(x−α)(x−β)(x−β)=a(x−α)(x−β)2のグラフはCのようになります.
例えば,α=−1, β=2, γ=2の場合,方程式はy=a(x+1)(x−2)2となり,上のCの図になります.
x3の係数aが負の値の場合,例えばy=−2(x+1)(x−2)2のときは,下のCの図になります. ■** これらの場合も,グラフはx=β(=γ)の所で「接点」となります.⇒横切らずに,元の側に戻ります.**■ D:3つとも重なった場合(α=γ=β)は, y=a(x−α)(x−α)(x−α)=a(x−α)3のグラフはDのようになります.
例えば,α=2, β=2, γ=2の場合,方程式はy=a(x−2)3となり,上のDの図になります.
x3の係数aが負の値の場合,例えばy=−(x−2)3のときは,下のDの図になります. ■** これらの場合も,グラフはx=α(=β=γ)の所で「接点」となり,しかもその後向こう側に出ます.**■ |
--解説図--
※三重解を持つDの図は,「単にx軸と交わっているのとは違います.」
駅のホームで線路をよく見ると,ホームが3つあるような場合には,線路が単に交差しているのではなくて,直進もできさらに向こうの線路にも行けるように三重解の形に作ってあることが分かります. |
○右の--図7--はy=(x+2)2(x−1)のグラフです. ◆まず第1に,y=(x+2)2(x−1)=1x3...で,x3の係数が正だから,グラフは「左下から右上に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
(x+2)2(x−1)=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左下から入る」→「x=−2で接するだけで元に戻る」→「x=1で交わる」→「右上に向かう」x+2=0 → x=−2(二重解) x−1=0 → x=1 すると,--図7--のようなグラフが描けます. ○右の--図8--はy=(x+2)(x−1)2のグラフです. ◆まず第1に,y=(x+2)(x−1)2=1x3...で,x3の係数が正だから,グラフは「左下から右上に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
(x+2)(x−1)2=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左下から入る」→「x=−2で交わる」→「x=1で接するだけで元に戻る」→「右上に向かう」x+2=0 → x=−2 x−1=0 → x=1(二重解) すると,--図8--のようなグラフが描けます. ○右の--図9--はy=−(x+1)2(x−2)のグラフです. ◆まず第1に,y=−(x+1)2(x−2)=−1x3...で,x3の係数が負だから,グラフは「左上から右下に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
(x+1)2(x−2)=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左上から入る」→「x=−1で接するだけで元に戻る」→「x=2で交わる」→「右下に向かう」x+1=0 → x=−1(二重解) x−2=0 → x=2 すると,--図9--のようなグラフが描けます. |
○上の--図10--はy=(x−1)3のグラフです. ◆まず第1に,y=(x−1)3=1x3...で,x3の係数が正だから,グラフは「左下から右上に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
(x−1)3=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左下から入る」→「x=1で接するが反対側に出る」→「右上に向かう」x−1=0 → x=1(三重解) すると,--図10--のようなグラフが描けます. |
■実数解が1つだけあるときのグラフの特徴
○右の--図11--はy=(x−1)(x2+1)のグラフです.E:
y=a(x−α)(x2+1)
のように,3次方程式が実数解を1つだけ持っていて,残り2つは虚数解という場合y=a(x−α)(x2+x+1)
右図11や12のようにx軸との交点が1つだけあります.
◆まず第1に,y=(x−1)(x2+1)=1x3...で,x3の係数が正だから,グラフは「左下から右上に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
(x−1)(x2+1)=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左下から入る」→「x=1で交わる→「右上に向かう」x−1=0 → x=1 x2+1=0 → 判別式が負だから虚数解(実数解なし) すると,--図11--のようなグラフが描けます.
それじゃ~
○右の--図12--はy=(x−2)(x2+2x+3)のグラフです.y=x−1の直線と同じじゃないかよ. y=x−1と違って, y=(x2+1)(x−1)になっているので,傾きが変化するのです. どこで曲がるか,わからん. おっしゃる通りで,曲がり方は「微分」を使わないと言えません. この頁では微分を使わない範囲までしか扱っていないので,深入りは避けます. ◆まず第1に,y=(x−2)(x2+2x+3)=1x3...で,x3の係数が正だから,グラフは「左下から右上に」向かいます. ◆x軸と交わる場所は,3次方程式を解いて求めます.
(x−2)(x2+2x+3)=0から
◆以上の2つのことを考えて,「左下から入る」→「x=2で交わる→「右上に向かう」x−2=0 → x=2 x2+2x+3=(x+1)2+2=0 → 判別式が負だから虚数解(実数解なし) すると,--図12--のようなグラフが描けます.
x=2で交わるのは分かるが,曲がり方が分からん
x=0のときにy=−6になるので,あとは滑らかに結びます. |
(難しい読み物) ※ ここまで,3次方程式の解について調べてきましたが
n次方程式は,複素数の範囲で(重解はその重複度だけ数えるものとして)n個の解を持ちます.[代数学の基本定理]
次に,この頁で扱っている,実係数の3次関数y=ax3+bx2+cx+d (a≠0)について考えると
したがって,3次方程式は複素数の範囲で3個の解を持ちます.
実軸x, y平面上のグラフを考えるときに,虚数係数の3次関数は考えない.虚数係数だとグラフは描けないから.
3次方程式ax3+bx2+cx+d=0 (a≠0)の実数解の個数(重解はその重複度だけ数えるものとする)は,
■ア 実数解0個(実数解なし)と虚数解3個:←このようなことは起らない.
エを細かく分けたものが上述のA,B,C,Dとなっている.○イ 実数解1個と虚数解2個 ■ウ 実数解2個と虚数解1個:←このようなことは起らない. ○エ 実数解3個と虚数解0個(虚数解なし) 残りのア,イ,ウを考えるには,次の定理が鍵になる.
「実係数のn次方程式が虚数解p+qi (q≠0)を持てば,その共役複素数p−qiもまた解となる.」
(1) これにより,実係数の1次方程式ax+b=0(a,bは実数)は虚数解を持たないことが間接的に分かる.なぜなら,もし虚数x=p+qi (q≠0)が解ならば,その共役複素数もx=p−qi (q≠0)も解となり,解が2個あることになり,代数学の基本定理と矛盾するから.もちろん,直接的にx=−は実数と言うこともできる. (2) 実係数の2次方程式ax2+bx+c=0(a≠0,b,cは実数)は,実数解を2つ持つ場合(重解となる場合も含む)と虚数解を2つ持つ場合しかないことが分かる.なぜなら,もし,実数解1つ(x=α)と虚数解1つβ=p+qi (q≠0)を持てば,β=p−qiも解となり,2次方程式に解が3個あることになって,代数学の基本定理と矛盾するから.
実数解が2つある例:(x+2)(x−1)=0 → x=−2, 1
(3) 実係数の3次方程式ax3+bx2+cx+d=0(a≠0,b,c,dは実数)の解を調べると,ここまでの内容と同様に虚数解は0個か2個しかあり得ないから,上の分類のイとエのみが可能で,アとウは不可能となる.
虚数解が2つある例:x2+x+1=0 → x= |
コメント