極限値(数IIの不定形の極限)
【高校数学の目次】
《数学Ⅰ・A》
数と式  • 根号計算  • 場合の数.順列.組合せ  • 確率  • 2次関数 • 2次不等式  • 集合・命題・条件・証明  • 正弦定理,余弦定理
《数学Ⅱ・B》
指数関数.対数関数  • 微分・積分 
《高校数学Ⅱ / 微分・積分の目次》    が現在地
平均変化率  • 極限値,不定形の極限  • 導関数の定義   • 接線の方程式  • 導関数の符号の求め方  • 3次関数のグラフ(微分以前)   • (問題)平均変化率,関数の極限,極限値から定数を求める問題   • (問題)微分係数,導関数の定義  • (問題)導関数の公式  • (問題)増減と極値  • (問題)最大最小,グラフと係数の符号,実数解の個数  • センター試験.数Ⅱ微積(2013~)  • 不定積分(数学II.多項式)  • 不定積分2(展開)  • 変数 t, y, r  • 積分定数の決定  • 定積分  • 定積分の基本計算  • 面積の求め方  • 定積分と面積(1)   • 発展学習:定積分と面積(2)   • 曲線で囲まれた図形の面積  • 絶対値付きの定積分(1)  • 絶対値付きの定積分(2)(数学Ⅱ,入試問題)  • 立体の体積  • 定積分で定義される関数 
※この教材は,高校数学の基本問題の中の極限値,不定形の極限のページを作り直したものです.

== 極限値,不定形の極限 ==
◇解説◇
【関数の極限値】
  関数 f(x) において,xa と異なる値をとりながら限りなく a に近づくとき,f(x) が 一定の値 b に限りなく近づく場合,
f(x) = b

と書き,xa に限りなく近づくときの f(x) の極限値は b であるといいます。
 xa よりも大きな値をとりながら a に近づくときと,a よりも小さな値をとりながら a に近づくのを区別するときは,
各々
 a+0a−0aと同じでないのか?などと小中学生の常識で「計算してしまって」はいけない.


 この+0−0は「近づき方を表す記号」になっている.
f(x)
f(x)
で表わします。左右どちらから近づくかを決めないとき,
f(x)
で表わします。

 特に,x0 よりも大きな値をとりながら,0 に近づくときは
f(x)
0 よりも小さな値をとりながら,0 に近づくときは
f(x)
で表わします。
【簡単な極限値】
○ 多項式(整関数)の極限値は,関数値(単に値を代入したもの)と等しくなります。
(2x + 1) = 3

(3x2 + 1) = 4

○ 次の図は y= のグラフです。

この図から,次のことが分かります。
= ∞ …(1)

=−∞ …(2)
 単に x → 0 のときは,
 +∞,−∞ が定まりませんので,
 次のように書きます。
 =±∞ (「なし」も可)
= 0 …(3)

= 0 …(4)

○ これらから,次の極限値は直ちに求まります。

## よくある間違いの例 ##
= 0

= ∞

⇒ こんな話をしているのではないことに特に注意

= −∞ …(1)×(-5)

= −∞ …(2)×3

= 0 …(3)×(-2)

= 0 …(4)×6


※数学が苦手という生徒の場合,上の右側に示したような間違いがよくあります.数学の専門家でもギリシャ以来1000年以上も「無限」や「極限」の取り扱いには手こずってきたので,無理もない話です.
 「無限」や「極限」をうまく扱えるようになったのは,いきなり「無限」や「極限」を考えずに,有限の間に勝負を決めてしまうようになってからとも言えるでしょう.
 高校では難しい精密論法に深入りせずに,直感的に理解するようになっていますので,次のように,3個程度の「小さな実験」で行き先を予想するといでしょう.
 このように,「無限」についての話は「すべて有限の話の中で語られている」と考えるのがコツです.

…(1)の場合

x 0.1 0.01 0.001 0
=10 =100 =1000


…(2)の場合

x −0.1 −0.01 −0.001 0
=−10 =−100 =−1000 −∞
…(3)の場合

x 10 100 1000
=0.1 =0.01 =0.001 0


…(4)の場合

x −10 −100 −1000 −∞
=−0.1 =−0.01 =−0.001 0
■問題 次の極限値を求めなさい。
「数字,マイナスの符号は半角数字,アルファベットは半角英小文字(a,b,c,...,x,y,z)」で,「∞はinf, +∞は+inf, −∞は−inf」と入力してください
(1)
(x + 2) =
(2)
=
(3)
=
(4)
=
(5)
=
(6)
=


◇解説◇
◇不定形の極限◇

 不定形の極限という用語は,高校の数IIの教科書では使われていませんが,授業,問題集,参考書ではよく使われます。不定形の極限について重要なことは、極限が不定なのではなくて、見かけだけが不定だと言うことです。
 数IIで登場する不定形の極限は,分母と分子の両方が 0 に近づく場合,すなわち「見かけ上」  になっているものを言います。

(数IIIでは,他にも∞-∞など多くの型が登場しますが,数IIでは,  だけです。)

 不定形の極限を求めるには,分母,分子が 0 になる原因を「約分によって」取り除いてから,計算します。


  • 「分子→0以外,分母→0以外」の分数の極限は,普通の分数です。

     例  =

  • 「分子→0,分母→0以外」の分数の極限は,単に0です。(これは不定形とは言いません。)

     例  = 0

  • 「分子→0以外,分母→0」の分数の極限は,単に∞(または−∞)です。(これは不定形とは言いません。)

     例  = ±∞

    (「なし」と書くこともあるが,正負は決まらなくても絶対値が無限になることを示すと,後の応用に役立つことが多い。)

  • 次の式のように「分子,分母の両方とも→0」の形をしているものを「不定形の極限」といいます。

     例 

○ 分母→0,分子→0という形の「不定形の極限」では,分母と分子を因数分解して,両方が0になるという原因を,「約分」によって取り除いてから,極限値を求めます。

  • 例1 ==(2x+1)=1

  • 例2  = = ±∞

  • 例3  = 4x = 0
  • 例4  = = (x + 1) = 2
※ 例1でx約分できるのは,「 x が 0 でない値をとりながら限りなく 0 に近づく」ので,x ≠0 だからです。

また,2x + 1 = 1 となるのではありません
 = という記号を使っていますが,2x + 11 になるのでなく,2x + 1 の極限値が 1 になるということです。
※ 極限値と関数値の違いは,主に数IIIで扱いますので,数IIで深入りするのは得策ではありません。
○ 次のような式では,極限の計算をするときに,lim の下の→の前に書かれた文字だけが変数で,他の文字は定数と見なします。
 例 f’(a) = =

= 2(x + a) = 4a


 例 f’(a) = =

= (4a + 2h) = 4a

■問題 次の極限値を求めなさい。
「数字,マイナスの符号は半角数字,アルファベットは半角英小文字(a,b,c,...,x,y,z)」で,「∞はinf, +∞は+inf, −∞は−inf」と入力してください
(ヒントが必要なときはを押しなさい.採点は最後にまとめて行います.)
(1)

=
(2)

=
(3)

=
(4)
(−1)

=
(5)

=
(6)

=
(7)

=
(8)

=
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