定積分と面積(2)(数学Ⅱ/発展学習)
== 発展学習:定積分と面積(2) ==
このページの教材のレベルは
~発展学習,大学入試向け~
(1)

-図1-


右図1の赤線で囲まれた図形の面積(符号は正)は

に等しい
【公式(1)の証明】
x−α=(x−β)+(β−α)と変形すると,計算が楽になる







(2) …いわゆる「6分の1公式」
 一般に2次方程式ax2+bx+c=0が相異なる2つの実数解α, β (α<β)をもつとき
 解と係数の関係から

が成り立つから,公式(1)から,次の公式(2)が得られる.


-図2-
【公式(2)の解説】
解と係数の関係により


だから


(1)の結果を使うと

[公式(2)が有利な場面]
 公式(2)を用いると,2交点の座標が「根号を含む複雑な値」であるときに,楽に計算ができる.
 例えば,次の【例題1】のように,交点のx座標がのとき,これらの値を

の形で代入して計算することは,煩雑で計算間違いも起きやすいが,

を代入すると,計算が楽になる.
[公式(2)を覚えなければならないか?]
 公式(2)を出すと「覚えてきた生徒だけできて,他の生徒は時間配分が不利になる」など,大学受験では辛口の批評が多い.
 筆者個人の感想として言えば,「公式(2)だけは覚える方がよい」(検算にも使いやすい),他の公式(3),(4),(**)は覚えなくてもよいが,「公式があるということは知っておく」「必要な場合には,試験会場で作ることができる」程度に「式を変形した思い出がある」方がよいと考える.・・・全部暗記するようなことは,頭脳資源の無駄遣いでしょう.

【例題1】
 放物線y=x2と直線y=x+1とで囲まれる図形の面積を求めてください.
 放物線y=x2と直線y=x+1の交点を求める
 x2=x+1を解く
 x2−x−1=0


とおくと


ここで
だから
…(答)
【問題1-1】
 放物線y=x2−3x+3と直線y=2x−1とで囲まれる図形の面積を求めてください.
解答を見る

【問題1-2】
 放物線y=x2+2x+1y=−x2−4x+2とで囲まれる図形の面積を求めてください.
解答を見る
[危険な落とし穴]
 便利な公式なので,どこでも使えそうに思ってしまいがちだが,「交点から交点までの区間」で積分している場合だけ,上記の公式が使えるが,「交点と交点の間以外の区間」の積分には使えないので注意
 次の図E~Hまでのどの場合も,赤線で囲まれた図形の面
積はにはならない.
(地道な計算を積み上げて行くしかない)

-図E-

-図F-


-図G-

-図H-


【例題2-1】
 放物線y=x2−1,直線y=x+1およびy軸とで囲まれる図形の面積を求めてください.
 放物線y=x2−1と直線y=x+1の交点を求める
 x2−1=x+1を解く
 x2−x−2=0
 (x+1)(x−2)=0
 x=−1, 2
区間−1≦x≦2において,つねにx2−1≦x+1だから




…(答)
【例題2-2】
 放物線y=−x2+4xについて,
(1) この放物線に交わる直線 y=mx (0≦m<4) と放物線で囲まれた図形の面積をmを用いて表せ.
(2) 放物線とx軸で囲まれた図形が右図のように2つの直線
y=ax, y=bx (0<b<a<4)
によって,その面積が3等分されるとき,a, bの値を求めよ.
(2000年度 東北学院大工学部)
(解答)・・・6分の1公式を湯水のように使う答案で書く場合
(1)
…(答)
(2)
m=0のとき,放物線とx軸で囲まれる図形の面積S0

y=axと放物線で囲まれる図形の面積Sa



…(答)
y=bxと放物線で囲まれる図形の面積Sb



…(答)

(3) …いわゆる「12分の1公式」
…(3.1)
…(3.2)

-図3.1-

-図3.2-

 3次方程式(x−α)(x−β)2=0が解x=α,重解x=βをもつとき

が成り立つ.x=αが重解,x=βが解である場合も同様にして

が成り立つ.
(3.1)の証明


(x−β)nの式で表す




…■証明終わり■
(3.2)の証明


(x−α)nの式で表す




…■証明終わり■

【例題3】
 3次関数y=x3+ax+bのグラフを曲線Cとする.直線y=3x+m…①は点P(1, 2)で曲線Cに接するという.
(1) a, b, mを求めよ.
(2) 直線①と曲線Cの点P以外の交点Qの座標を求めよ.
(3) 直線①と曲線Cで囲まれた部分の面積Sを求めよ.
(2000年度 成蹊大学 工学部)
(1)
 y1=x3+ax+b
 y2=3x+m
とおく
 y1'=3x2+a
 y2'=3
P(1, 2)を通るから
 2=1+a+b…(#1)
 2=3+m…(#2)
P(1, 2)で互いに接するから
 3+a=3…(#3)
(#1)(#2)(#3)より
 a=0, b=1, m=−1…(答)
(2)
 y1=x3+1
 y2=3x−1
の共有点を求める
 x3+1=3x−1
 x3−3x−2=0
 (x−1)2(x+2)=0
P以外の交点は,Q(−2, −7)…(答)
(3)



…(答)
(備考)
 記述式答案では,公式(3.1)を丸暗記してと書いてもダメでしょう.教科書にない公式を黙って使うと減点の可能性あり.公式(2)はよく使うので「公式」と書いておけばよいでしょう.
 検算として,密かに自信を持つのはよいでしょう.

(4) …いわゆる「30分の1公式」

-図4-
(4)の証明 …x−βの式に直す(x−αに揃えてもよい)








【例題4】
 関数f(x)=x4−2x2+xについて,次の問いに答えよ.
(1) 曲線y=f(x)と2点で接する直線の方程式を求めよ.
(2) 曲線y=f(x)と(1)で求めた直線で囲まれた領域の面積を求めよ.
(2016年度 名古屋市立大 経済学部)
(1)
f ’(x)=4x3−4x+1
接点のx座標をp, q (p<q)とすると
y−(p4−2p2+p)
=(4p3−4p+1)(x−p)
y=(4p3−4p+1)x
−3p4+2p2…(#1)
y=x4−2x2+x…(#2)
(#1)(#2)の連立方程式がx=pの重解をもつ
 x4−2x2+x=(4p3−4p+1)x−3p4+2p2
 x4−2x2−(4p3−4p)x+3p4−2p2=0
左辺をx2−2px+p2で割ると,割り切れる.
 (x2−2px+p2)(x2+2px+3p2−2)=0 そこで,
 x2+2px+3p2−2=0
x=qの重解をもてばよい
 x2+2px+3p2−2=x2−2qx+q2より
p=−q (p<q)
3p2−2=q2
これより,p=−1, q=1 (#1)の戻すと
 y=x−1…(答)

(2)


偶関数の定積分だから


…(答)
※公式(5)を丸暗記してもこの答案はかけない.公式(5)を検算に使うことはできる.
(**) …上記の(1)~(4)は次の公式の特別な場合となっている.(m, nは正の整数)

※(**)は,ベータ関数の性質(m, nは正の整数)

によって,置換積分(数学Ⅲで習う)したものになっている.(オイラーのベータ関数は,理系の大学で習う)

(5) …放物線と2つの接線で囲まれた図形の面積
 放物線y=ax2+bx+c (a>0)上の点A(α, ···), B(β, ···) (α<β)における接線が交わる点をPとする.線分ABと放物線で囲まれる図形の面積をS,2つの接線と放物線で囲まれる図形の面積をTとおくと

-図5-




※この公式(5)は,高校数学Ⅱの教科書に書かれていないので,この結果を,答案として証明なしに使ってはいけない.(教科書の公式なら,黙って使ってよい)
 だから,後の例題5のような問題で,公式(5)を覚えてきて答だけ書いても「答案にはならない」・・・「覚える」という使い方は無意味.次のような「証明の流れを自分流に再現」できればよい.

(公式(5)の証明)
 公式(2)により
…(#1)
 次に,接点Aにおける接線の方程式を求める.
y=ax2+bx+cの導関数はy'=2ax+bだから,
y−(aα2α+b+c)=(2aα+b)(x−α)
y=(2aα+b)x−aα2+c…(#2)
接点Bにおける接線の方程式は,同様にして
y=(2aβ+b)x−aβ2+c…(#3)
連立方程式(#2)(#3)を解く
(2aβ+b)x−aβ2+c=(2aα+b)x−aα2+c
2a(β−α)x=aβ2−aα2
2a(β−α)x=a(β−α)(β+α)
β>αだから

(#3)に代入



したがって,2接線の交点Pの座標は

ABの中点をMとすると



AからMPまでの距離は

だから

同様にして

したがって
…(#4)
(#1)(#4)より

【例題5】
 放物線y=x2の上に異なる2点P, Qをとる.点Pにおける接線と点Qにおける接線の交点をRとする.線分PQと放物線y=x2が囲む部分の面積と,△PQRの面積の比は,点P, Qの位置に関係なく一定であることを証明せよ.
(2000年度 会津大)
(解答)
P Q R M y=x2 T S
 P(p, p2), Q(q, q2)とおく(ただし,p<q
 線分PQと放物線y=x2が囲む部分の面積をS△PQRの面積をS+Tとおくと
…(1)
 次に,2つの接線の交点Rの座標を求める
y=x2の導関数はy'=2xだから,Pにおける接線の方程式は
y−p2=2p(x−p)
y=2px−p2…(2)
Pにおける接線の方程式は
y−q2=2q(x−q)
y=2qx−q2…(3)
 連立方程式(2)(3)を解くと
…(4)
 P(p, p2), Q(q, q2)の中点をとおくと
(←底辺と見る)


したがって
…(答)

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