♪♥♫♦∀~発展学習,大学入試向け~∳♣♬∅♠
(1)
-図1- 右図1の赤線で囲まれた図形の面積(符号は正)は に等しい |
【公式(1)の証明】 x−α=(x−β)+(β−α)と変形すると,計算が楽になる |
(2) …いわゆる「6分の1公式」
一般に2次方程式ax2+bx+c=0が相異なる2つの実数解α, β (α<β)をもつとき 解と係数の関係から が成り立つから,公式(1)から,次の公式(2)が得られる. -図2- 解と係数の関係により だから (1)の結果を使うと |
[公式(2)が有利な場面] 公式(2)を用いると,2交点の座標が「根号を含む複雑な値」であるときに,楽に計算ができる. 例えば,次の【例題1】のように,交点のx座標がのとき,これらの値を の形で代入して計算することは,煩雑で計算間違いも起きやすいが, を代入すると,計算が楽になる. [公式(2)を覚えなければならないか?] 公式(2)を出すと「覚えてきた生徒だけできて,他の生徒は時間配分が不利になる」など,大学受験では辛口の批評が多い. 筆者個人の感想として言えば,「公式(2)だけは覚える方がよい」(検算にも使いやすい),他の公式(3),(4),(**)は覚えなくてもよいが,「公式があるということは知っておく」「必要な場合には,試験会場で作ることができる」程度に「式を変形した思い出がある」方がよいと考える.・・・全部暗記するようなことは,頭脳資源の無駄遣いでしょう. |
【例題1】
放物線y=x2と直線y=x+1とで囲まれる図形の面積を求めてください. x2=x+1を解く x2−x−1=0 とおくと ここで だから …(答) |
【問題1-1】
解答を見る
放物線y=x2−3x+3と直線y=2x−1とで囲まれる図形の面積を求めてください. 交点を調べる. x2−3x+3=2x−1を解く x2−5x+4=0 (x−1)(x−4)=0 x=1, 4 区間1≦x≦4でつねにx2−3x+3≦2x−1だから …(答) ※この問題のようにα=1, β=4と積分区間の両端が整数であるような場合は,公式(2)を使わずに,単純計算でもできる.(互いに検算に使うとよい) …(答) |
【問題1-2】
解答を見る
放物線y=x2+2x+1とy=−x2−4x+2とで囲まれる図形の面積を求めてください. |
[危険な落とし穴] 便利な公式なので,どこでも使えそうに思ってしまいがちだが,「交点から交点までの区間」で積分している場合だけ,上記の公式が使えるが,「交点と交点の間以外の区間」の積分には使えないので注意 次の図E~Hまでのどの場合も,赤線で囲まれた図形の面 積はにはならない.(地道な計算を積み上げて行くしかない) -図E- -図F- -図G- -図H- |
【例題2-1】
放物線y=x2−1,直線y=x+1およびy軸とで囲まれる図形の面積を求めてください. x2−1=x+1を解く x2−x−2=0 (x+1)(x−2)=0 x=−1, 2 区間−1≦x≦2において,つねにx2−1≦x+1だから …(答) |
【例題2-2】
(解答)・・・6分の1公式を湯水のように使う答案で書く場合(1) この放物線に交わる直線 y=mx (0≦m<4) と放物線で囲まれた図形の面積をmを用いて表せ. (2) 放物線とx軸で囲まれた図形が右図のように2つの直線 y=ax, y=bx (0<b<a<4) によって,その面積が3等分されるとき,a, bの値を求めよ. (2000年度 東北学院大工学部)
(1) …(答) (2) m=0のとき,放物線とx軸で囲まれる図形の面積S0は y=axと放物線で囲まれる図形の面積Saは …(答) y=bxと放物線で囲まれる図形の面積Sbは …(答) |
(3) …いわゆる「12分の1公式」
…(3.1) …(3.2) -図3.1- -図3.2- 3次方程式(x−α)(x−β)2=0が解x=α,重解x=βをもつとき が成り立つ.x=αが重解,x=βが解である場合も同様にして が成り立つ. |
(3.1)の証明
← (x−β)nの式で表す
…■証明終わり■ (3.2)の証明
← (x−α)nの式で表す
…■証明終わり■ |
【例題3】
3次関数y=x3+ax+bのグラフを曲線Cとする.直線y=3x+m…①は点P(1, 2)で曲線Cに接するという. (1) a, b, mを求めよ. (2) 直線①と曲線Cの点P以外の交点Qの座標を求めよ. (3) 直線①と曲線Cで囲まれた部分の面積Sを求めよ. (2000年度 成蹊大学 工学部)
y1=x3+ax+b y2=3x+m とおく y1'=3x2+a y2'=3 点P(1, 2)を通るから 2=1+a+b…(#1) 2=3+m…(#2) 点P(1, 2)で互いに接するから 3+a=3…(#3) (#1)(#2)(#3)より a=0, b=1, m=−1…(答) |
(2) y1=x3+1 y2=3x−1 の共有点を求める x3+1=3x−1 x3−3x−2=0 (x−1)2(x+2)=0 P以外の交点は,Q(−2, −7)…(答) (3) …(答) (備考) 記述式答案では,公式(3.1)を丸暗記してと書いてもダメでしょう.教科書にない公式を黙って使うと減点の可能性あり.公式(2)はよく使うので「公式」と書いておけばよいでしょう. 検算として,密かに自信を持つのはよいでしょう. |
(4) …いわゆる「30分の1公式」
-図4- |
【例題4】
関数f(x)=x4−2x2+xについて,次の問いに答えよ. (1) 曲線y=f(x)と2点で接する直線の方程式を求めよ. (2) 曲線y=f(x)と(1)で求めた直線で囲まれた領域の面積を求めよ. (2016年度 名古屋市立大 経済学部)
f ’(x)=4x3−4x+1 接点のx座標をp, q (p<q)とすると y−(p4−2p2+p) =(4p3−4p+1)(x−p) y=(4p3−4p+1)x −3p4+2p2…(#1) y=x4−2x2+x…(#2) (#1)(#2)の連立方程式がx=pの重解をもつ x4−2x2+x=(4p3−4p+1)x−3p4+2p2 x4−2x2−(4p3−4p)x+3p4−2p2=0 左辺をx2−2px+p2で割ると,割り切れる. (x2−2px+p2)(x2+2px+3p2−2)=0 そこで, x2+2px+3p2−2=0 がx=qの重解をもてばよい x2+2px+3p2−2=x2−2qx+q2より p=−q (p<q) 3p2−2=q2 これより,p=−1, q=1 (#1)の戻すと y=x−1…(答) |
(2) 偶関数の定積分だから …(答) ※公式(5)を丸暗記してもこの答案はかけない.公式(5)を検算に使うことはできる. |
(**) …上記の(1)~(4)は次の公式の特別な場合となっている.(m, nは正の整数)
※(**)は,ベータ関数の性質(m, nは正の整数)をによって,置換積分(数学Ⅲで習う)したものになっている.(オイラーのベータ関数は,理系の大学で習う) |
(5) …放物線と2つの接線で囲まれた図形の面積
放物線y=ax2+bx+c (a>0)上の点A(α, ···), B(β, ···) (α<β)における接線が交わる点をPとする.線分ABと放物線で囲まれる図形の面積をS,2つの接線と放物線で囲まれる図形の面積をTとおくと
-図5-
※この公式(5)は,高校数学Ⅱの教科書に書かれていないので,この結果を,答案として証明なしに使ってはいけない.(教科書の公式なら,黙って使ってよい)
だから,後の例題5のような問題で,公式(5)を覚えてきて答だけ書いても「答案にはならない」・・・「覚える」という使い方は無意味.次のような「証明の流れを自分流に再現」できればよい. (公式(5)の証明) 公式(2)により …(#1) 次に,接点Aにおける接線の方程式を求める. y=ax2+bx+cの導関数はy'=2ax+bだから, y−(aα2α+b+c)=(2aα+b)(x−α) y=(2aα+b)x−aα2+c…(#2) 接点Bにおける接線の方程式は,同様にして y=(2aβ+b)x−aβ2+c…(#3) 連立方程式(#2)(#3)を解く (2aβ+b)x−aβ2+c=(2aα+b)x−aα2+c 2a(β−α)x=aβ2−aα2 2a(β−α)x=a(β−α)(β+α) β>αだから (#3)に代入 したがって,2接線の交点Pの座標は ABの中点をMとすると AからMPまでの距離は だから 同様にして したがって …(#4) (#1)(#4)より |
【例題5】
(解答)放物線y=x2の上に異なる2点P, Qをとる.点Pにおける接線と点Qにおける接線の交点をRとする.線分PQと放物線y=x2が囲む部分の面積と,△PQRの面積の比は,点P, Qの位置に関係なく一定であることを証明せよ. (2000年度 会津大)
P
Q
R
M
y=x2
T
S
•
•
•
•
線分PQと放物線y=x2が囲む部分の面積をS,△PQRの面積をS+Tとおくと …(1) 次に,2つの接線の交点Rの座標を求める y=x2の導関数はy'=2xだから,Pにおける接線の方程式は y−p2=2p(x−p) y=2px−p2…(2) Pにおける接線の方程式は y−q2=2q(x−q) y=2qx−q2…(3) 連立方程式(2)(3)を解くと …(4) P(p, p2), Q(q, q2)の中点をとおくと (←底辺と見る) したがって …(答) |